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シングルマザーが仕事をしようと思うと、まず不安に感じるのが「子供が病気になったとき、どうすれば良いのか」ということです。保育園などの保育施設では、病気の子供は預かってくれません。
では、子供が病気になってしまった場合、どこに預ければ良いのでしょうか。
このページでは、シングルマザーが利用すべき病気の子供の預け先についてお話しします。
病気の子供の主な預け先
子供が病気のとき、会社を休んで自分が看病してあげられたら一番安心です。しかし、会社を休めないときもあります。実家に預けたくても、「親も働いている」「親との関係が悪い」などの理由から子供を看てもらえない場合もあります。
自分で子供を看てあげることができず、実家に預けることもできないとき、病気の子供の預け先として各市町村が行う「病児・病後児保育」を利用することができます。
病児・病後児保育
病児・病後児保育とは、病気の子供(病児)・病気は治っていても体力面などの理由から保育園などに行くことがむずかしい子供(病後児)を預かってくれるサービスのことです。
病児・病後児保育を利用すれば、自分が仕事をしている間、病気の子供を預かってもらうことができます。
病児・病後児保育は、病院、クリニックなどの医療機関に併設されている病児・病後児保育室で受けることができます。病後児保育は、保育園など一部の保育施設でも実施しています。
病児・病後児保育の対象は、0~5歳までの子供です。市町村によっては、小学生も対象に含みます。利用時間は月~土曜日(もしくは金曜日)の午前8時~午後6時ごろまで。利用料金は1日2,000円程度(昼食、おやつ代含む)です。
病児・病後児保育を利用するには、まず市町村の窓口に行き、病児・病後児保育を行っている施設を確認しましょう。利用したい施設が決まれば、施設もしくは市町村の窓口で病児・病後児保育の登録手続きを行います。複数の施設に登録することができるので、いくつかの施設に登録しておくと良いでしょう。
実際に子供を預けるときは、まず利用したい施設に直接電話して病児・病後児保育の利用を予約します(予約は前日から可能です)。次に医師の診察を受けます。そして、病児・病後児保育に子供を預けます。
ただ、病児・病後児保育を利用したいと思ってもできない場合があります。なぜなら病児・病後児保育施設の定員は5人前後がほとんどだからです。インフルエンザなどが流行すれば、すぐに定員オーバーになり、利用することができません。
満員で利用できない場合に備えて複数の施設に登録をしておけば、利用しようと思った施設が定員オーバーでも、空きのある別の施設を探して子供を預かってもらうことができます。
その他の子供の預け先
その他の子供の預け先として、ファミリーサポートセンター、ベビーシッター、NPO法人を利用することができます。
ファミリーサポートセンター
ファミリーサポートセンターとは、育児や介護の援助を受けたい人と援助したい人(育児や介護についての講習を受けた人)が会員登録して、助け合う会員組織です。
ファミリーサポートセンターを利用すれば、自分が仕事をしている間、病気の子供(0歳~小学生)を援助会員の自宅で預かってもらうことができます。また、保育園などの保育施設や病児・病後児保育施設などへの子供の送迎してもらうことや、かかりつけの病院に子供を連れて行ってもらうこともできます。
利用料金は、1時間あたり700~900円前後です。利用時間は午前7時~午後9時ごろ。日曜日や祝日も子供を預かってもらえるので、休日出勤の場合も安心です。
後述のベビーシッターの場合、利用料金として、1時間あたり2,000円前後かかります。それと比べると、ファミリーサポートセンターの方が、断然、利用しやすい料金といえます。しかし、子供の病状が良くなるまで預かってもらう場合、何日間もファミリーサポートセンターを利用することになります。
ここで、ファミリーサポートセンターを利用して、子供を1日10時間預けた場合の料金を考えてみましょう。
このように、ファミリーサポートを利用して病気の子供を預けた場合、かなりのお金がかかります。
そのため、全国にあるファミリーサポートセンターのうち、1割ほどの施設では、ひとり親家庭に対して利用料金を半額にするなどの支援を行っています。自分が住む地域のファミリーサポートセンターはこのような支援を行っているか、確認しておくと良いでしょう。
ただ、残念なことに、2014年現在、全国にあるファミリーサポートセンターのうち、実際に病気の子供を預かってくれるのは約3割です。
制度上は、ファミリーサポートセンターに病気の子供を預けられることになっています。しかし、ファミリーサポートセンターの多くは、病状悪化や感染などのリスクがある病気の子供への援助について「実施しない」「制限を設ける」などの慎重な態度をとっています(出典:平成26年度全国ファミリーサポートセンター活動実態調査結果)。
病気の子供の預け先としてファミリーサポートセンターの利用を考えるなら、まずファミリーサポートセンターもしくは市町村の窓口で、実施している援助内容(病気の子供を預けられるかどうか、病気の子供への具体的な援助内容など)を確認しましょう。
ファミリーサポートセンターを利用できる場合は、ファミリーサポートセンターもしくは市町村の窓口で会員登録の手続きを行います。すると、ファミリーサポートセンターから援助会員を紹介してもらえます。そして、援助会員と受けたい援助について打ち合わせを行います。
このとき、子供が急に病気になった場合でも対応してもらえるか、かかりつけ医へ子供を連れて行ってもらうことはできるかなど、具体的に確認しておくと良いでしょう。
実際に病気の子供を預ける際は、できるだけ早く援助会員に利用を申し込みます。子供の病状や注意事項、援助会員にして欲しいことなど、援助会員に明確に伝えましょう。
ベビーシッター
病気の子供の預け先としてベビーシッターを利用することもできます。ベビーシッターとは、親に代わって子供の世話をしてくれる人のことです。ベビーシッターの多くは、保育士や幼稚園教諭などの免許を持っています。
ベビーシッター会社に依頼すれば、自分が仕事をしている間、シングルマザーの自宅でベビーシッターに病気の子供(大抵0歳~小学生まで)を看てもらうことができます。
利用時間は、会社によってさまざまです。ほとんどのベビーシッター会社は、早朝・夜間の時間帯でも対応してくれます。また、急な利用の依頼にも応じてもらえることが多いので、急に子供が病気になったときも安心して利用できます。
ただ、ベビーシッターの場合、病気の子供を預けると1時間あたり2,000円前後の利用料金がかかります。
ここで、東京にある某ベビーシッター会社についてみてみましょう。
東京にある某ベビーシッター会社は、入会金として10,000円、年会費として5,000円払って会員登録をしている場合に限り、子供が病気のときでも利用することができます。
利用料金は、1時間あたりの2,000円です。さらにベビーシッターの交通費として、別途1,296円を負担する必要があります。
また、前日に利用を申し込んだ場合は前日依頼料金として1,000円、当日に利用を申し込んだ場合は当日依頼料金として2,000円かかります。
早朝・夜間の時間帯(午前8時以前・午後11時以降)に利用した場合は、それぞれ2,000円の時間外手当を毎回追加で支払う必要があります。
このように、ベビーシッターはとても便利な反面、利用料金が高すぎるというデメリットがあります。
そのため、勤務先の企業によってはベビーシッターを1回あたり2,200円引きで利用できる「割引券」をもらえる場合があります。これは、国が育児支援制度として発行しているものです。勤務先がこの割引券を扱っているか、確認しておくと良いでしょう。
また、市町村によっては病気の子供に対してベビーシッターを利用した際、利用料金の一部の助成してもらえる場合があります。
ここで、東京都北区の場合をみてみましょう。
東京都北区に住んでいれば、病気の子供(0~5歳)に対して区指定のベビーシッター会社を利用した際、1時間につき最大1,000円の助成を受けることができます。
ただし、1日10時間が利用の上限。連続して利用した場合は7日間までがの助成の対象。1年間で受けられる助成金限度額は、40,000円となっています。
このように、国や市町村の割引券を利用できればベビーシッターも多少利用しやすくなります。とはいえ、病気は急になるものであり、回復までには日数がかかります。割引券を使ったとしても、かなりの利用料金になるでしょう。
病気の子供の預け先としてベビーシッターを利用する場合、まずベビーシッター会社との契約を行います。そして、子供が病気のときに利用したい旨をベビーシッター会社に伝えます。
実際に利用する際には、利用したい日時や子供の病状、保育内容などをベビーシッター会社に伝えましょう。すると、利用当日、ベビーシッターに希望通りの看病をしてもらうことができます。
NPO法人による病児・病後児保育
病気の子供の預け先として、NPO法人によるサービスを利用できる場合があります。NPO法人とは、社会全般が良くなることを目指して、非営利目的で活動を行う団体のことです。
NPO法人の中に病気の子供や病気の回復途中にある子供を預かる病児・病後児保育を行っているところがあります。例えば、東京(東京近辺も含む)では「NPO法人フローレンス」、大阪では「NPO法人レーベル」が病児・病後児保育を行っています。
ここでは、「NPO法人フローレンス」についてみていきます。
NPO法人フローレンスは、子供がいる家庭に対して首都圏を中心に病児・病後児保育を含む育児支援活動を行う非営利団体です。
フローレンスを利用すれば、保育士などの資格をもつスタッフに病気の子供(0歳~小学6年生まで)をシングルマザーの自宅などで預かってもらうことができます。希望すれば、かかりつけの病院に子供を連れて行ってもらうこともできます。またフローレンスの提携医師の往診を無料で受けることもできます。
利用時間は、月~金曜日の午前8時~午後6時半です。早朝・夜間保育のオプションを利用すれば、午前7時半~午前8時、午後6時半~8時の時間帯でも子供を預けることができます。
利用料金は、まず月会費として平均6,800円がかかります(子供の年齢と利用頻度により異なる。2015年4月現在のデータ)。この月会費には、毎月1回目の保育料(8:00~18:30の間で上限9時間)が含まれています。月2回目以降の利用のときは、月会費とは別に、1時間につき2,000円の保育料がかかります。また、毎回、スタッフの交通費について、1,000円を上限に負担する必要があります。
さらに早朝・夜間保育のオプションを利用する場合、利用時間相当分の保育料に加えて、それぞれ月額2,000円のオプション利用料がかかります。
ただ、ひとり親家庭であれば、児童扶養手当の受給もしくは年収400万以下であることが条件に、格安の料金プランを利用できます。月会費は一律1,000円(毎月初回保育料含む)、月2回目以降の保育料は1時間につき1,000円で利用することができます。
この他、国が育児支援事業として発行しているベビーシッター利用割引券や各市町村が実施している助成制度、各種クーポンなどにより、割引サービスを受けることができます。
フローレンスを利用するには、まずフローレンスに入会する必要があります。フローレンスに入会できるのは、サービス提供エリアである東京23区、千葉県(一部)、神奈川県(一部)、埼玉県(一部)に住んでいることが条件です。
また、入会は抽選により決められ、2016年9月入会分の当選確率は約6分の1とかなり高い競争率になっています。そのため、実際にフローレンスを利用できるのはごく一部の家庭だけです。
このように、住んでいる地域に病児・病後児保育を実施しているNPO法人があれば、病気の子供の預け先として利用できる場合があります。
おわりに
このページでは、シングルマザーが仕事をしている間、病気の子供の預け先として利用できる施設やサービスについてお話ししました。
病気の子供を預かってくれる施設やサービスには、病児・病後児保育、ファミリーサポートセンター、ベビーシッター、NPO法人による病児・病後児保育があります。
このうち、シングルマザーに最もおすすめなのは、各市町村が行う病児・病後児保育です。病児・病後児保育であれば、比較的安価な料金で看護師などに子供を預かってもらうことができます。
ただ、病児・病後児保育は定員数が少なく、満員で子供を預けられない場合があります。そのため、複数の病児・病後児保育施設に登録しておくと良いでしょう。