PR
自分一人で仕事や育児、家事をこなさねばらないシングルマザーの場合、子供が小さいうちは、パート・アルバイトや契約社員、派遣社員などの非正規社員として働くほうが、都合の良いことが多いです。非正規社員であれば、労働時間や休日、残業などの調整がしやすいからです。
しかし、非正規社員では、子供との生活に十分な収入を得ることは難しいです。正社員であれば、収入や社会保険・退職金などの待遇面で非正規社員よりもはるかに良い待遇を受けることができます。
では、シングルマザーが、子供が小さいうちは非正規社員として働き、後に正社員になることはできるのでしょうか。非正規社員から正社員を目指す場合、「正社員登用制度」「紹介予定派遣制度」を利用することができます。
ただ、これらの制度を用いても、正社員になれる保証はありません。正社員になるには、非正規社員として働きつつ、正社員としての転職先を探していく方が現実的です。
このページでは、シングルマザーが非正社員として働きながら、正社員になる方法についてお話しします。
パート・アルバイトや契約社員として働きながら、正社員になるには
まず、パート・アルバイトや契約社員から正社員になる方法について、厚生労働省の「通常の労働者への転換について」の資料をもとにみてみます。
正社員登用制度とは
パート・アルバイトや契約社員として働きながら正社員を目指す場合、「正社員登用制度」を利用することができます。
正社員登用制度とは、パート・アルバイトや契約社員などの非正規社員を正社員に転換する制度です。この制度がある会社で働けば、非正規社員として働いた後に、正社員として雇用してもらえる可能性があります。
ただ、正社員登用制度は、法律によるものではありません。各企業の独自の制度です。そのため、全ての企業が正社員登用制度を実施しているわけではありません。
実際、正社員への転換措置を行っている企業は、全体の48.6%です。それらの企業では、非正規社員を正社員に転換するための試験制度を設けたり、正社員を募集する際に非正規社員からの応募も受け付けたりしています。
正社員への転換措置がない企業では、非正規社員として働き続けても、正社員になれるチャンスはありません。
正社員登用制度がある企業でも、正社員になれる保証はない
正社員登用制度がある企業でも、すぐに正社員になれるわけではありません。
例えば、厚生労働省の資料にある「パートから正社員に転換された事例」をみると、正社員になるまでに最短でも1~5年の勤続が必要です。
また、多くの場合、正社員になるには、各企業が定めている条件をクリアせねばなりません。例えば、通信教育や社内セミナーを受講していること、昇格試験に合格すること、企業指定の資格を取得していること、仕事への取り組み・意欲・職務遂行能力などの評価が一定基準以上であること、所属長からの推薦があることなどです。
さらに、企業によっては、正社員になる前に、雇用期間に定めがある契約社員もしくは雇用期間に定めがない契約社員、短時間正社員としての雇用を受ける場合もあります。
短時間正社員とは、通常の正社員と比べて就労時間・日数が少ない正社員のことです。短時間正社員の雇用期間は、無期です。時間あたりの基本給、賞与・退職金の算定方法は、正社員と同じです。
これでは、正社員になるまで、かなり時間がかかります。
また、企業によっては、正社員になるまでにかかる年数や条件を明確に定めていないところもあります。例えば、当サイトの管理人である私の友人の勤め先について、みてみましょう。
私の友人の勤め先には、非正規社員が正社員になるための具体的な定めはありません。
友人は、パートとして働き始める際、「2年くらいで正社員になれる」と聞いていたそうです。しかし、実際は、2年経ってもパートのままでした。
そして、4年目のとき、正社員として働いていた人が退職したのをきっかけに、正社員にしてもらうことができたそうです。
このような企業では、いくらシングルマザーが努力を重ねても、すでに働いている正社員が辞めない限り、正社員になることはできません。
正社員になることを目指して働いていても、非正規社員の場合、雇用は有限です。雇用期間が終わり、更新を受けなければ、正社員になれないまま仕事を失う可能性もあります。そうなれば、収入が途絶えるだけでなく、正社員を目指して積み上げてきた歳月が一気に無駄になってしまいます。
したがって、シングルマザーが正社員登用制度のみを頼りに正社員を目指すのは、厳しいといえます。
派遣社員として働きながら、正社員になるには
では、派遣社員から正社員を目指す場合はどうでしょうか。ここからは、職業安定局「労働者派遣事業の平成16年度事業報告の集計結果について」をもとにみていきます。
紹介予定派遣制度とは
派遣社員の場合、「紹介予定派遣制度」を利用することができます。
紹介予定派遣制度とは、派遣先に直接雇用される予定として最長6か月間派遣社員として働き、その後派遣先と派遣社員の両者が希望すれば、正社員もしくは契約社員などとして派遣先の直接雇用の社員となることができるシステムです。
紹介予定派遣制度を利用しても、正社員になれる保証はない
紹介予定派遣制度を利用する場合、企業に派遣される前もしくは派遣先の直接雇用の社員となる前に、履歴書・職務経歴書などによる書類選考や面接、試験が行われることが多いです。これらを突破できなければ、紹介予定派遣制度を利用して派遣社員として働くこと、もしくは直接雇用の社員となることはできません。
直接雇用の社員になれたとしても、「正社員」とは限りません。契約社員として、場合によってはパート・アルバイトとしての雇用となることもあります。
この場合、正社員になれる保証はありません。いずれは正社員になれる場合でも、間に契約社員もしくはパート・アルバイトとしての雇用を挟む分、かなり時間がかかります。派遣社員として働いていた頃より、収入が下がる可能性もあります。
さらに、雇用に期限がある非正規社員では、契約が更新されなければ仕事を失うことになります。そうなれば、収入を失う上、正社員を目指して費やしてきた日々が無駄になります。また、派遣社員のときのように、次の勤務先の紹介を受けることはできません。自力で、次の就職先を探さねばなりません。
そのため、紹介予定派遣制度を利用する際は、派遣会社に、直接雇用になった場合の雇用形態(正社員、契約社員、パート・アルバイトなど)や収入、待遇面について、しっかり確認しておくと良いでしょう。
ここで、平成16年度の紹介予定派遣のデータについてみてみます。
平成16年度の紹介予定派遣への申し込み者数は、57,776人でした。
そして、企業に派遣されたのは、そのうちの約33.7%にあたる19,474人。派遣期間を終え、直接雇用の話まで進んだのは、さらに減って15,044人。最終的に直接雇用の社員となったのは、10,655人でした。
つまり、紹介予定派遣への申し込み者のうち、実際に直接雇用の社員となったのは約18.4%でした。
このように、派遣社員の場合も、シングルマザーが紹介予定派遣制度のみを頼りに正社員を目指すのは、厳しいといえます。
非正規社員として働きながら、正社員としての転職先を探す方法
正社員登用制度や紹介予定派遣制度を利用する以外に、非正規社員として働きながら正社員としての転職先を探す方法もあります。非正規社員として働きつつ、正社員としての求人を探し、応募するのです。
この場合も、正社員になるには、書類選考や採用試験、面接などを突破する必要があります。ただ、新たに正社員の求人を探して応募する場合は、正社員登用制度や紹介予定派遣制度を利用する場合と比べて、圧倒的に早く合否の結果がわかります。早い企業であれば、応募から数日~数週間のうちに結果がわかるでしょう。
結果が出るのが早い分、多くの求人にチャレンジすることができ、正社員になれる可能性は高まります。
たしかに、非正規社員として働きながら転職活動を行うのは、自分一人で仕事や育児、家事をこなさねばならないシングルマザーにとって、大きな負担です。
しかし、転職サイトや転職エージェントを利用すれば、求人探しから応募までにかかる全ての手続きは、ネットや電話で完結します。公的な就職支援サービスであるハローワーク(公共職業安定所)のように、出向く必要はありません。しかも、これらのサービスの利用は無料です。
ここからは、シングルマザーが非正規社員として働きながら正社員になるのにおすすめの転職サイト、転職エージェントについてお話しします。
転職サイトとは
転職サイトとは、インターネット上で求人情報などを公開しているサイトです。転職サイトには、例えば、「リクナビNEXT」「マイナビ転職」などがあります。
転職サイトを利用すれば、「職種」「勤務地」「年収」「雇用形態(正社員、派遣社員、契約社員、アルバイトなど)」のほか、「中途入社のスタッフが多い」「女性が活躍中」「学歴不問」「年間休日120日以上」「育児支援制度あり」「フリーターから応募可能」など、膨大な求人情報の中から、シングルマザーが希望する条件の求人に絞って検索することができます。
また、転職サイトに登録しておけば、企業からスカウトを受けることもあります。
例えば、リクナビNEXTの場合をみてみましょう。
2017年3月現在のスカウト・サービスの登録者は、3,232,902人。リクナビNEXTの会員のうち、2人に1人はスカウト・サービスを利用しています。
それに対し、スカウトの総数は、4,881,933件でした。(出典:リクナビNEXT)
このように、転職サイトを利用すれば、膨大な求人情報から希望の条件に合うものを探し出すことができ、企業から直接スカウトを受ける可能性もあります。
転職エージェントとは
転職エージェントとは、求職者の就職を斡旋する会社のことです。転職エージェントの正式な名称は「有料職業紹介事業所」。「人材紹介会社」や「人材バンク」とも呼ばれています。
転職エージェントには、例えば、「リクナビエージェント」「マイナビエージェント」などがあります。
転職エージェントを利用すれば、転職のプロであるアドバイザーに担当として就いてもらうことができます。そして、希望の条件に合った求人探しから応募の手続き、履歴書などの企業に提出する書類の添削や面接対策、入社決定後の年収の交渉などについて、アドバイザーに、徹底的にサポートしてもらえます。
上述の通り、アドバイザーとのやりとりは、全てインターネット上もしくは電話で完結します。直接、出向く必要はありません。
また、転職エージェントの求人情報の約8~9割は、非公開のものです。求人情報を公開すると、他の企業に今後の事業戦略を知られてしまう可能性があります。また、企業が求める人材以外の人も応募してくることから、採用者を決めるのに多くの時間や労力がかかります。そのため、非公開で求人を行う企業が多いのです。
これらの求人の中には、「残業が少ない」「土日祝が休み」「有給休暇を利用しやすい」など、シングルマザーが正社員として働く上で譲れない条件を満たすものが数多く含まれています。
転職エージェントを利用しない限り、これらの求人情報を得ることはできません。
このように、転職サイトと転職エージェントを利用すれば、仕事や育児、家事に忙しいシングルマザーでも、非正規社員として働きながら転職活動を行うことができます。転職サイト、転職エージェントを利用することで、シングルマザーが希望の条件で正社員として働ける可能性は、グッと高まるでしょう。
まとめ
このページでは、シングルマザーがパート・アルバイト、契約社員、派遣社員などの非正規社員として働きながら、正社員になる方法についてお話ししました。
パート・アルバイト、契約社員として働きながら正社員になるには、正社員登用制度を利用することができます。派遣社員として働く場合は、紹介予定派遣制度を利用することができます。
ただ、これらの制度を利用しても、正社員になれる保証はありません。
正社員になるには、かなりの歳月と企業ごとに定められた条件のクリアが必要です。企業によっては、正社員の欠員がでない限り、正社員への登用はないところもあります。
また、雇用に期限がある非正規社員では、正社員になれないまま契約期間の終了を迎える可能性もあります。そうなれば、収入が途絶える上、正社員を目指して努力を重ねてきた日々が無駄になります。
したがって、自分一人の稼ぎで一家の生活を支えねばならないシングルマザーが、正社員登用制度や紹介予定派遣制度を頼りに正社員を目指すのは厳しいといえます。
正社員になるには、非正規社員として働きつつ転職サイトや転職エージェントを利用して、正社員としての転職先を探すことをおすすめします。