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シングルマザーが正社員を目指す場合、独身者と比べると不利なことが多いです。
シングルマザーは、独身者に比べて年齢がいっていたり、保育園などに子供を迎えに行くために残業できる時間に制限があったり、子供が病気になったときに遅刻や早退、欠勤したりする可能性があるからです。
では、シングルマザーが正社員としての就職・転職を成功させるには、どうしたら良いでしょうか。
それには、まず、採用の第一関門である履歴書で、採用担当者に「この人を採用したい」「この人と(面接で)会ってみたい」と思ってもらう必要があります。
履歴書では、「社会人としてのマナーが身についていること」「入社への意欲・熱意があること」「企業の役に立つ人間であること」の3つをアピールすることが大切です。
このページでは、シングルマザーが正社員としての就職・転職を成功させるための履歴書の書き方について、お話しします。
履歴書を書く前に用意するもの
まず、履歴書を書く前に用意するものについてみていきます。履歴書を提出するにあたり、履歴書・ペン・封筒・クリアファイルの4つを用意しましょう。
ペン
封筒
クリアファイル
ここからは、それぞれについて詳しくみていきます。
・履歴書
履歴書には、さまざまな種類があります。例えば、「JIS規格」「一般用」「転職用」などです。
- 「JIS規格」は、学歴・職歴の欄が大きく、自己PR欄が小さいのが特徴です。最も一般的な履歴書です。
- 「一般用」は、JIS規格と比べて自己PR欄が大きくなっているのが特徴です。職歴でアピールできるものが少ない場合に使うと良いでしょう。
- 「転職用」は、職歴欄が大きく、職務経歴書がセットになっているのが特徴です。JIS規格の履歴書では書き切れないほど転職が多い場合や職歴で自分をアピールしたい場合に使うと良いでしょう。
企業から履歴書の指定を受けていない場合は、最も自分をアピールできるタイプのものを選んで使いましょう。履歴書は、文房具コーナーなどで購入することができます。
・ペン
ペンは、必ず黒インクのものを用意します。黒以外のペンで履歴書を書いた場合、採用担当者に違和感を与える可能性があるからです。ビジネスの書類では、黒インクの使用が一般です。
ペンの太さは0.7mmが目安です。太すぎる字では圧迫感のある履歴書に、細すぎる字では頼りない印象の履歴書になってしまいます。ただ、文字の太さは、筆圧によって変わります。そのため、実際に試し書きをしてみて、最も字が綺麗に見えるものを選ぶと良いでしょう。この際、インクのにじみにくさもチェックしておきましょう。
なお、字を消せるタイプのペン(摩擦熱で字を消せるペン)は絶対に使わないでください。
たしかに、字を書き間違えた場合、消せるタイプのペンであれば簡単に修正できます。しかし、履歴書は正式な書類です。正式な書類は後で書き換えられるものであってはいけません。実際、私の勤務先の施設長は、消せるタイプのペンで書かれている履歴書に気づき、「常識がない」と顔をしかめていたことがあります。
したがって、履歴書は必ず字を消せないタイプのペンを使って書きましょう。
・封筒
封筒は、白無地で、履歴書などの応募書類を折り曲げることなく入れられるサイズのものを用意します。
履歴書の中には、封筒とセットになっているものもあります。それを選ぶと便利でしょう。
履歴書用の封筒でなくても、白無地のものなら問題ありません。その場合、封筒の表面の左下に赤文字で「履歴書在中」もしくは「応募書類在中」と書きます。文房具店や100円ショップで、専用のスタンプを購入することもできます。
・クリアファイル
履歴書などの応募書類を入れるためのクリアファイルを用意します。
クリアファイルに応募書類を入れておけば、書類が曲がったり、雨で濡れたり、写真がはがれたりする心配がありません。企業に提出する書類を大切に扱う姿勢を見せることで、採用担当者に良い印象を与えることができます。
クリアファイルは、100円ショップなどで売っている10枚入りのもので十分です。白い透明なタイプのものを選ぶと良いでしょう。
シングルマザーが正社員になるため、履歴書で伝えるべき3つのポイントとは
次に、シングルマザーが正社員になるため、履歴書で伝えるべきポイントについてみていきます。
そのポイントとは、「社会人としてのマナーが身についていること」「入社への意欲・熱意があること」「企業の役に立つ人間であること」の3つです。
シングルマザーが履歴書で伝えるべき3つのポイント
- 社会人としてのマナーが身についていること
- 入社への意欲・熱意があること
- 企業の役に立つ人間であること
社会人としてのマナーが身についていることは、採用の最低条件です。マナーに反する履歴書は、即、採用の対象から外される可能性があります。
常識がない人を雇っても、良い働きぶりは期待できません。企業のイメージを悪くしたり、チームの輪を乱したりするなど、マイナスの影響を及ぼしかねません。
したがって、履歴書を書く際は、ルールに則り、社会人としてのマナーが身についていることをアピールすることが大切です。
その上で、履歴書で「いかに意欲をもって仕事ができるか」「企業の役に立てるか」を強調して伝えましょう。
特に、シングルマザーの場合、この3つのポイントをしっかり意識して書くことは重要です。なぜなら、シングルマザーには「年齢」や「就労の制限」のハンディキャップがあるからです。
シングルマザーは、新卒者や独身者に比べて年齢がいっている場合が多いです。また、子供を保育園などに迎えに行くため、残業できる時間に制限があります。子供が急に病気になれば、遅刻や早退、欠勤したりすることもあります。子供の行事に参加するため、有料休暇の利用を希望することもあるでしょう。
正社員としての就職・転職を希望するにあたり、これらはマイナスに働きます。
たしかに、就労の制限について、履歴書の中で、必ずしも具体的に伝える必要はありません。ただ、採用担当者が履歴書の「配偶者の有無」「扶養家族数」の欄を見れば、「シングルマザー」「就労に制限がある」との推測は容易につきます。
そこで、シングルマザーが正社員として採用されるには、企業側に「多少のマイナス要素があっても、この人を雇いたい」と思わせるくらいのメリットを履歴書に書く必要があります。
したがって、シングルマザーが正社員になるには、社会人としてのマナーが身についていること」「入社への意欲・熱意があること」「企業の役に立つ人間であること」の3つを意識して履歴書を書くことが大切です。
シングルマザーが正社員としての就職・転職を成功させるための履歴書の具体的な書き方とは
ここからは、履歴書の具体的な書き方についてみていきます。
履歴書全体で気をつけるべき2つのポイント
まず、履歴書全体の書き方で気をつけるべきポイントについてみていきましょう。それは、「心を込めて丁寧に書くこと」「3つのルールに則って書くこと」の2つです。
これらは、履歴書を書くにあたり、社会人として守るべき最低限のマナーです。それぞれについて詳しくみていきます。
心を込めて丁寧に書くこと
履歴書は、応募先の企業に提出する書類です。履歴書は、採用担当者が読みやすいように「心を込めて丁寧に」書きましょう。
履歴書が乱暴な字で書かれていたり、誤字脱字があったりするようでは、当然、採用担当者に良い印象を与えることはできません。応募者が多い場合、履歴書を最後まで読んでもらえないうちに「不採用」との判断を受けることもあるかもしれません。
当サイトの管理人である私は、部署の長を務めています。担当の部署への就職希望者がいれば、選考を行う立場にいます。
私の場合、履歴書に誤字があるだけで採用にすることはありません。
ただ、誤字があると「この人は、本気で採用されたいと考えているのだろうか?」と残念に思います。同条件の就職希望者が複数いれば、誤字が採用の判断に影響する可能性はあります。
そのため、履歴書は、鉛筆で薄く下書きしてから書くことをおすすめします。そうすれば、下書きの段階で文章は仕上がっていることから、清書では「書くこと」だけに集中して読みやすい字で書くことができます。また、清書に入る前に、誤字脱字をチェックすることもできます。
なお、パソコンで履歴書を作成する方法もあります。IT関係の企業の場合、履歴書はパソコンで作成するのが主流です。ただ、一般企業の場合、履歴書は手書きが主流です。企業によっては、手書きの履歴書しか扱わないところもあります。したがって、履歴書は手書きで作成するのが無難でしょう。
3つのルールに則って書くこと
履歴書には、書き方についての一般的なルールがあります。履歴書全体で守るべきルールは3つです。
- ルール1 修正液は使用しない
履歴書を書いている途中で間違えた場合、必ず新しい用紙に書き直します。 - ルール2 文体を「です・ます」調に揃えること
履歴書の中では、丁寧な表現を用いましょう。 - ルール3 正式名称を使用すること
株式会社を(株)、高等学校を「高校」と略したり、住所の「丁目」「番地」を「ハイフン(-)」にしたりしてはいけません。履歴書には、正式名称を記入します。
履歴書は、この3つのルールを守って書きましょう。
なお、履歴書を書くにあたり、正しい敬称を使うことも大切です。応募先が企業の場合、敬称には「貴社」を用います。応募先が法人の場合は「貴法人」、協会の場合は「貴協会」、組合の場合は「貴組合」とします。
銀行→ 貴行 病院→貴院 学校→貴校 幼稚園・保育園→貴園
○○事務所→貴事務所 市役所→貴役所
個人事業主→(事業主名)様 ※店舗がある場合は「貴店」
敬称の判断が難しい場合は、「(法人名・事業所名)様」としても問題ありません。
履歴書の項目ごとのルールとポイント
ここからは、履歴書の項目ごとのルールとポイントについてみていきます。
日付・年齢
履歴書の日付と年齢は、記入する時点ではなく「提出するときのもの」を記入しましょう。
写真
履歴書の写真は、スナップ写真ではなく、「証明写真」を使用しましょう。証明写真であれば、明るさや色合い、人物の大きさ、背景など、正式な書類にふさわしいものを用意することができます。
そして、必ず「カラーの写真」にします。履歴書の写真は「カラー」がほとんどです。「モノクロ」の写真は、採用担当者に違和感や暗い印象を与える可能性があります。
撮影のときの服装は、スーツが基本です。歯が見えない程度に口角を上げて微笑むと、第一印象を良くすることができるでしょう。メイクは「ナチュラル」を心がけます。髪はきれいに整え、長髪の場合は後ろの低い位置で束ねましょう。
髪の色については、ダークブラウンなどの落ち着いた茶色であれば、問題ない企業もあります。ただ、判断は企業によります。そのため、「黒」が最も無難といえます。髪の色が不安な場合は、美容室で相談してみると良いでしょう。適切な色に染めてもらうことができます。
履歴書の写真では、清潔で健康的な印象を与えることが大切です。
なお、履歴書の写真欄に用意した写真を貼る際、あらかじめ写真の裏に自分の名前を書いておきましょう。そうすれば、履歴書から写真が剥がれ落ちた場合も安心です。
住所
住所は、都道府県から書きます。「-(ハイフン)」の使用は郵便番号のみとし、「番地」「丁目」は略さずにそのまま書きます。
ふりがなは、履歴書の文字が「ひらがな」で書かれている場合はひらがなに、「カタカナ」で書かれている場合はカタカナにします。
ふりがなを振るのは、都道府県から番地の前までです。住所にふりがなを振るのは読み間違えを防ぐためであり、「丁目」「番地」は読み間違えない漢字だからです。マンション名やアパート名についても、ふりがなを振る必要はありません。ただ、ふりがなを振ったほうが丁寧な印象になります。
なお、住所が長い場合、無理に1行に収める必要はありません。2行に分ければ、文字を小さくしたり、文字間を狭めたりすることなく、読みやすい字で書くことができます。
緊急時の連絡先
履歴書によっては、緊急時の連絡先の記入欄がある場合があります。
緊急時の連絡先には、実家の住所・電話番号を書くのが一般的です。ただ、緊急時の連絡先の記入は必ずしも必要ではありません。実家の外で住まいを借りている場合、緊急時の連絡先として現住所と同じであることを意味する「同上」と書いても、問題ありません。
しかし、面接で残業や子供が病気のときの対応について質問されたときに「実家に手伝ってもらえます」などと答えるならば、緊急時の連絡先として実家の連絡先を記入しておいたほうが良いです。実家の連絡先の記入があれば、実家との関係の良さをアピールできるからです。
学歴
学歴の欄は、まず1行目の真ん中に「学歴」と書きましょう。そして、2行目から学歴を書いていきます。
年月は、履歴書全体で西暦もしくは和暦のいずれかに統一しましょう。和暦で書く場合は、必ず「昭和」「平成」などの年号を付けます。
学歴は、最終学歴の1つ前の学歴から書きます。例えば、最終学歴が大学卒業の場合、「○○高等学校卒業」から書き始めます。そして、学部や学科、コース、専攻も記載します。応募先の企業と関連するものがあれば、企業の役立つ人間であることをアピールすることができるでしょう。
人によっては、やむを得ず学校を中途退学(以下、中退)した場合もあるかもしれません。その場合、「○○大学 中途退学」と書きましょう。
たしかに、中退はマイナスイメージとなる可能性が高いです。しかし、学歴を偽って採用されても後で嘘がわかった場合、周囲からの信用を失います。また、減給や降格などの処分を受ける可能性もあります。職場での居心地は、かなり悪くなるでしょう。
学歴に「中途退学」と記入する場合、「出産のため中途退学」「進路変更のため中途退学」「経済的な理由により中途退学」など、中退の理由を書いておきましょう。中退に至った理由の記入がなければ、学校側から退学処分を受けた可能性も考えられます。具体的な中退の理由を書いておけば、採用担当者の不安を払拭することができるでしょう。
高等学校中退後に高等学校卒業程度認定試験に合格している場合、学歴欄に「高等学校卒業程度認定試験合格」と記入します。
ただ、採用担当者によっては、高等学校卒業程度認定は「資格の欄に書くべきもの」と認識している可能性があります。たしかに、厳密に言えば高等学校卒業程度認定は「資格」です。
しかし、高等学校卒業程度認定を資格の欄に書くと、学歴の流れとして不自然になることがあります。例えば、高等学校中退の後に、大学入学の記入をする場合などです。また、高等学校卒業程度認定は学力に関する資格であり、他の資格とは性質が異なります。
したがって、高等学校卒業程度認定は、学歴の欄に記入すると良いでしょう。
面接で採用担当者から指摘を受けた場合、「高等学校卒業程度認定が資格のひとつであることは、存じております。ただ、高等学校卒業程度認定は国が高等学校を卒業した場合と同等の学力があることを認める資格であり、努力の末にやっと合格できたものであることから、敢えて学歴の欄に記入いたしました」などと答えれば、問題ありません。
職歴
職歴は、履歴書の中で採用担当者が注目する部分です。職歴によって「応募者が企業にとってどのように役に立つ人間か」「どの程度役に立つ人間か」を推測することができるからです。
職歴も、学歴のときと同様に1行目の真ん中に「職歴」と書きます。そして、2行目から職歴を書いていきます。上述のとおり、会社名は「株式会社」を(株)と略さずに正式名称を書きましょう。
一般に、パート・アルバイトとして働いていた場合の職歴は記入しなくて良いことになっています。
ただ、パート・アルバイトの経験しかない場合や長期間パート・アルバイトとして働いていた場合は、職歴として積極的に記入しましょう。職歴に何も書いていないと、採用担当者に自分の能力をアピールすることができません。長期間のブランクが空いていると、マイナスイメージになりかねません。
また、パート・アルバイトでも、応募先の企業の仕事と関連する職歴があれば、企業の役に立つ人間であることのアピールになります。
その場合、履歴書には「○○年○月 ○○○会社 入社(パート社員)」などと記入します。
リーダーなどの役職がついていたのであれば、それも書いておくと良いでしょう。「○○年○月 同社○○○に昇進」と書きます。
なお、社会保険に加入していた場合や直近の仕事については、職歴欄に記入しておくと良いでしょう。正社員として採用されれば、社会保険の加入や年末調整の手続きのため、企業に対して年金手帳や雇用保険証、前職の源泉徴収票の提出が必要となるからです。
年金手帳には、国民年金保険の加入状況が書いてあります。雇用保険証や源泉徴収票には、直近の職場の名称が書いてあります。履歴書の内容と一致しなかったり、履歴書に書かれていない企業名などがあったりすれば、企業側を混乱させる可能性があります。
契約社員として働いていた場合、職歴に「○○年○月 ○○○株式会社 入社(契約社員)」と記入します。その後、正社員として採用された経験があれば、次の行で「○○年○月 同社正社員採用」と書きます。
派遣社員として働いていた場合、「○○年○月 ○○○派遣会社に登録」「○○年○月 ○○○株式会社に勤務」と書きます。派遣が多く職歴の行が足りなくなるようであれば、派遣会社名は書かずに「○○年○月 ○○○株式会社にて派遣社員として勤務」と記入すると良いでしょう。
正社員としての勤務経験がある場合、「○○年○月 ○○○株式会社 入社」と書きます。
また、職歴には、入社・退社だけでなく、勤務先の企業の説明や配属部署、業務内容も書きましょう。
「○○年○月 ○○○会社 入社
○○○業 従業員数○人
入社後、○○○部に配属
○○○担当として、○○○を行う」
などと書きます。
ただ、転職が多く、職歴欄に書き切れない場合もあるでしょう。その場合、履歴書には入社・退社のみを記入します。そして、「詳細は職務経歴書に記載」と書いた上で、職務経歴書に職歴の詳細を載せましょう。
退職の経験がある場合、その理由として「一身上の都合により」「契約期間満了につき」「会社都合により」と書くのが一般的です。ただ、仕事にブランクがある場合、具体的な退職理由を書いておくことをおすすめします。例えば、「結婚のため」「出産のため」などです。そうすれば、ブランクが空いていることに対する採用担当者の不安を払拭できます。
最終職歴を書き終えたら、その下の行に左寄せで「現在に至る」と書き、次の行に右寄せで「以上」と書きます。
職歴を書くにあたり、転職が多い場合や短期間で入退社している場合、事実を正直に書くと「マイナスイメージになるのではないか」と心配かもしれません。
ただ、職歴を偽っても、上述のように社会保険の加入や年末調整の手続きや際に履歴書の内容と一致しなかったり、職場に過去の仕事関係者が偶然訪れたりすることがあれば、嘘がわかってしまいます。職歴を偽っていたことがわかれば、学歴のときと同様に周囲からの信用を失い、処分を受ける可能性があります。懲戒解雇になることもあります。
たしかに、年金や雇用保険の加入の手続きは、基礎年金番号や雇用保険被保険者番号がわかればできます。年金手帳や雇用保険証の提出はせずに番号のみを伝えれば、職場に過去の職歴を知られることはないでしょう。ただ、総務担当者によっては、「間違いがあってはいけない」との理由から提出を求めることがあります。
また、年金手帳や雇用保険証を提出しなくても、年末調整のため源泉徴収票を提出する際、少なくとも直近の職場は企業側に伝わります。就職・転職した職場で、過去の仕事関係者と偶然会う可能性もゼロではありません。
したがって、職歴は正直に書きましょう。
資格
資格は、応募先の企業の仕事に役に立つものを優先して書きましょう。
ここで応募先の企業の仕事に無関係のものを書いてしまうと、かえってマイナスイメージとなる可能性があります。企業に関係のない資格は採用担当者にとって関心のない情報であり、読むだけ「手間」となるからです。
したがって、特に記入する資格がない場合は「特になし」と書いて問題ありません。自動車免許は職種に関わらず、書いておくと良いでしょう。
また、資格はなくても応募先の企業の業務で役に立ちそうなスキルがある場合は、積極的に記入します。例えば、「※パソコン(Word、Excel)の操作可能」「※会計ソフト『○○○』の操作可能」などと書きます。これらは、特技の欄に書くこともできます。
なお、資格は、取得年月順に正式名称で書きましょう。例えば、自動車免許の場合は「平成○年○月 普通自動車第一種運転免許取得」と書きます。
ただ、民間団体の免許や資格の中には正式名称よりも略称のほうが有名なものもあります。例えば「英検」は「実用英語技能検定」という正式名称よりも略称のほうが有名です。しかし、この場合も、必ず正式名称で書きましょう。
もし、応募先の企業の仕事に関係がある資格を取得するために勉強しているのであれば、資格欄に書くことをおすすめします。その場合、「資格取得に向けて現在勉強中」「○月に取得予定」などと書けば良いでしょう。
このように、資格の欄は応募先の企業の仕事と関係のあるものを記入し、自分が「企業にとって役に立つ人物であること」をアピールしましょう。
志望動機
志望動機の欄は、採用担当者が最も注目する箇所です。ここでは、「入社への熱意」と「企業にとって役に立つ人間であること」をアピールします。
志望動機の最初で「今までの仕事の経験」を述べ、次に「就職・転職を希望した理由」を記し、最後に「入社への意気込み」を書くといった流れにすれば、わかりやすい文章にすることができます。
ここからは、志望動機を「今までの仕事の経験」「就職・転職を希望した理由」「入社への意気込み」の3つに分けて、それぞれについて詳しくみていきましょう。
・今までの仕事の経験
まず、「今までの仕事の経験」についてです。
「今までの仕事の経験」を書き始める前に、求人内容や公式ホームページ、商品・サービス、広告などから、応募先の企業の事業内容や経営方針、今後の方向性について情報を集めることが大切です。そして、集めた情報と今までの仕事の経験とを照らし合わせた上で、「自分がいかに企業に役に立つ人間であるか」をアピールする文章を書きます。
自分で自分をアピールするのが難しい場合は、他者から受けた評価を引用すると書きやすくなるでしょう。
例えば、接客重視の企業に提出する履歴書であれば、「お客様から『わかりやすい説明をありがとう』とお喜びのお手紙をいただきました」などと書くことができます。
・就職・転職を希望した理由
就職・転職を希望した理由では、まず、就職・転職を思い立った理由を書きます。「子供を育てるため」「生活のため」などは、働く理由です。就職・転職の理由では、自分がどのような視点・考え・価値観の持ち主であるかを踏まえ、就職・転職の思いに至った背景や経緯を具体的に書きましょう。
その次に、応募先の企業を選んだ理由を書きます。
ここでは、応募先の企業について魅力に感じていることを具体的に書くことが大切です。「貴社の社風に惹かれました」「経営方針に共感しました」など他の企業でも通じる内容では、応募先の企業に入社の熱意を伝えることはできません。応募先の企業独自の内容を具体的に書くことで、熱意が伝わる文章にすることができます。
・入社への意気込み
入社への意気込みでは、企業の方針や今後の方向性を踏まえた上で、入社後の目標を具体的に記入します。そうすれば、採用担当者に「入社への熱意」と「具体的にどのように企業の役に立つか」の両方をアピールすることができます。
管理人である私は、作業療法士です。今までに5回職場を変えた経験があります。いずれも正社員としての採用です。例えば、私が訪問リハビリテーションの会社に就職する際、履歴書の志望動機として以下のように記入しました。
私は回復期リハビリテーション病棟の専従として、障害をもたれて間もない入院患者様に対し、着替えや入浴、排泄などの身の回りのことや仕事、家事、余暇活動など退院後に想定される生活に基づき、治療を行って参りました。
しかし、退院後の生活に真に役立つ治療をするには、「病院」という特殊な環境よりも「その人の生活の場」である地域で作業療法を実施する方が重要だと感じるようになりました。
患者様の多くは、退院後の生活に不安を感じ、以前と比べてできなくなったことを気にしながら退院されていきます。今後は、実際の生活の場で、そのような方たちの新しい生活を作り上げていくための援助を行っていきたいと思っております。
貴社の「本人と家族、関連職種と一丸になって、その人らしい生活の実現を目指す」という企業理念に強く共感し、貴社の作業療法士として、地域での生活に密着したリハビリテーションを実施していきたいと思います。
※回復期リハビリテーション病棟とは、脳血管障害などの病気の発症後、最長6ヶ月を目安に入院する病棟のことです。入院患者様のほとんどは、自宅へ退院されます。
※回復期リハビリテーション病棟の専従とは、回復期リハビリテーション病棟に入院している患者様のみを担当する専属のリハビリテーション職員のことです。
また、未経験の分野への就職・転職を希望する場合、そのために努力している姿をアピールすることが大切です。
例えば、仕事に関係する資格を取得するために勉強中であれば、志望動機欄に「○○の資格取得を目指して勉強中です」「○○月に資格取得の見込みです」などと書きます。もしくは、資格の欄にその旨を記入しても良いでしょう。
このように、志望動機では、「入社の熱意」と「企業にとって役に立つ人間であること」をしっかりアピールしましょう。
なお、志望動機を書く際に気をつけたいのが、「自分の言葉で書くこと」です。ネットや本に載っている見本を真似して書いても、採用担当者の心に響く文章にはなりません。
なぜなら、見本には、企業独自の内容や応募者の経験に基づく具体的な内容が含まれていないからです。したがって、志望動機は必ず自分の言葉で書きましょう。
本人希望欄
本人希望欄は、「貴社の規定に従います」と書くことをおすすめします。空欄では「記入漏れ」と思われることがあるため、気をつけましょう。
たしかに、シングルマザーの場合、子供を迎えに行くために残業できる時間に制限があったり、子供が病気になったときに遅刻や早退、欠勤の可能性があったりします。しかし、本人希望欄に多くのことを記入すると、それだけでマイナスイメージをもたれたり、不採用となったりする可能性があります。
本人希望欄に希望を書く場合は、多くのことを書きすぎないように優先順位をつけ、その理由も合わせて書きましょう。また、柔軟な姿勢を見せることも大切です。そうすれば、マイナスイメージを軽減することができます。
私の場合、履歴書の希望欄は「貴社の規定に従います」と書いていました。そして、面接のときに、採用担当者の反応をみながら残業や休みの曜日などについて伝えるようにしていました。
なお、応募先の企業が多数の職種の求人を同時に行っている場合は、必ず希望する職種を記入しておきます。例えば「○○○職を希望します」などと書きます。職種名は、必ず募集要項と同じ名称を使って書きましょう。募集要項と異なる名称を書くと、採用担当者に「募集要項をしっかり読んでいない人」「気が利かない人」との印象を与える可能性があります。
また、働きながら転職活動をしているなど、応募先の企業からの連絡を受けられる時間に制限がある場合、希望欄に「在職中のため、勤務中は電話に出られない可能性があります。その場合、折り返しご連絡させていただきます」と書いておくと良いでしょう。
趣味や特技
趣味や特技の欄では、学歴や職歴、志望動機などでは伝えきれない人間性をアピールすることができます。それが企業の求める社員像と一致すれば、採用担当者に好印象を与えることができるでしょう。
趣味や特技の欄は、活動名に加えて簡単な説明を書き添えておくことがポイントです。
例えば、履歴書の趣味・特技の欄に、単に「読書」「映画鑑賞」と記入してあるだけでは、採用担当者によっては「おとなしい」「活動的でない」「マイペースな人」という印象を持つかもしれません。ありきたりな内容で「つまらない人」と感じるかもしれません。
そこで、具体的な作品名を挙げ、感銘を受けたポイントなどを書いておけば、自分の人柄のアピールになり、採用担当者に好印象を与えることができます。例えば「読書(○○○を読み、苦しい状況でも決して諦めない主人公の姿に感動しました)」などと書けば、「忍耐強い人」「責任感がある人」という印象を与えることができます。
ただ、シングルマザーの場合、仕事や育児、家事を全て一人でこなさなくてはなりません。毎日忙しく、「趣味にかけられる時間的・体力的な余裕はない」という場合もあるでしょう。学生の頃の部活も卒業して何年も行っていなければ、趣味や特技として記入するのは厳しいです。
そのような場合、普段日常的にしている何気ないことでも、趣味や特技として記入することができます。
例えば、特技に「料理(冷蔵庫内の余った食材で料理するのが得意です)」と書くとします。そうすれば、採用担当者に「臨機応変に対応できる人」という印象を与えることができます。「早起き(毎日5時に起きています)」と書けば、「時間管理がしっかりできる人」という印象を与えることができます。
また、少し変わった趣味を書いておけば、採用担当者の興味を惹くことできるかもしれません。例えば、私が今までに見た履歴書の中でインパクトを受けたのは、「利き酒」と「B級グルメ巡り」です。趣味をきっかけに面接で話が盛り上がれば、採用担当者に良い印象を残すことができるでしょう。
通勤時間
通勤時間は、自宅から勤務先までの最短の移動時間を書きます。採用担当者は、通勤時間の欄で通勤のしやすさ(遅刻せずに安全に通えるか、残業できるか)、企業が負担する交通費をみているからです。
採用後に引っ越しを考えているのであれば、「採用いただいた場合、通勤時間を短くするため転居を予定しています」などと書き添えておくと良いでしょう。
通勤時間は、5分単位で記入します。例えば、実際に43分かかる場合、通勤時間は40分もしくは45分と書きます。
なお、通勤時間は、公共の交通機関を使った場合を優先して記入しましょう。たしかに、公共の交通機関では自家用車で移動するより時間がかかる場合があります。子供を保育園に迎えに行かなければならないなど就労時間に制限のあるシングルマザーの場合、通勤時間にかかる時間が長いほど残業できる時間が短くなってしまいます。
ただ、自転車、原動機付自転車、自動二輪、自家用車での通勤は、公共の交通機関での通勤に比べて交通事故に遭うリスクが高く、企業にとっては不安でしょう。また、社内規定で「勤務地の半径○km以内に自宅がある社員については、自家用車での通勤は認めない」と制限している企業もあります。
したがって、履歴書では公共の交通機関を利用した場合の移動時間を書き、面接のときに自家用車での通勤を希望している旨を伝えると良いでしょう。
しかし、自家用車での通勤が一般的な地域であれば、自家用車で通勤した場合の時間を書いても問題ありません。業務内容に車の運転も含む場合、公共の交通機関を利用した場合の時間を書いては、却って採用担当者に不安を与える可能性もあります。
勤務地が複数あり、どの勤務地になるかわからない場合は、希望する勤務地の通勤時間を書きます。例えば、「バス(○○支社への通勤時間) 約1時間00分」と記入します。
ただ、実際は勤務地が異なる可能性もあります。そのため、面接の前に、その他の勤務地までの移動時間を確認しておけば、面接で異なる勤務地の話が出たときも慌てずに済むでしょう。
配偶者・扶養家族
シングルマザーの場合、「配偶者」「配偶者の扶養義務」の欄は、「無」に丸をつけます。「扶養家族数」は、子供の人数を記入します。例えば、子供が1人の場合は「1人」と書きます。
このように記入しておけば、履歴書に敢えて「母子家庭」と書かなくても、多くの場合、採用担当者に母子家庭であることは伝わります。
シングルマザーが正社員になる可能性を高める就職支援サービスによる履歴書のサポートとは
履歴書を書くにあたり、就職支援サービスを利用する方法もあります。
履歴書では、「企業にとって役に立つ人間であること」をアピールすることが重要です。しかし、自分で自分の長所(強み)に気づくことは難しいです。また、履歴書を書いた経験が少ない場合、書き方を調べながら書いても不安かもしれません。
そのような場合、就職支援サービスを利用すれば、自信を持って応募先の企業に提出できる履歴書を書くことができます。
就職支援サービスのうち、履歴書の書き方について相談できるのは、「ハローワーク」と「転職エージェント」です。ここからは、それぞれについてみていきます。
ハローワーク
ハローワーク(公共職業安定所)とは、就職支援・雇用促進を目的とした公的な機関です。求人情報の提供や就職支援セミナーなどを行っています。
ハローワークを利用すれば、履歴書の書き方について、無料で相談にのってもらうことができます。
ただ、履歴書の相談をするにはハローワークに行かねばなりません。仕事や家事、育児に忙しいシングルマザーの場合、ハローワークに行く時間をつくるのは厳しいでしょう。子供の預け先がない場合、ハローワークに子供を連れて行かねばなりません。
子連れでハローワークに行く場合、子育て中の女性の就職を支援するマザーズハローワークやハローワーク内のマザーズコーナーであれば、キッズコーナーを利用することができます。キッズコーナーには、子供用のおもちゃや絵本が揃っています。
これらの施設を利用すれば、子供をキッズコーナーで遊ばせながら、ハローワークの職員に履歴書の相談をすることができるでしょう。
ただ、マザーズハローワークやマザーズコーナーは数が少なく、県によっては1施設の場合もあります。これらの施設が自宅から遠ければ、子供を連れて通うのは難しいかもしれません。
このように、ハローワークに履歴書の書き方を相談するには、ハローワークに直接行く必要があります。仕事や家事、育児で時間にゆとりがなかったり、子供の預け先がなかったりするシングルマザーの場合、ハローワークを利用するのは厳しいでしょう。
転職エージェント
転職エージェント(人材紹介会社、人材バンク)とは、求職者の就職を斡旋する会社のことです。
転職エージェントを利用すれば、就職・転職を希望する業界に精通した専任のアドバイザーに、求人探しから入社までの一連の就職・転職活動を徹底的にサポートしてもらうことができます。サポート内容には、履歴書の相談や添削も含みます。
転職エージェントも、サービスは全て無料で利用することができます。転職エージェントは、利用者が入社した際に紹介料として企業から報酬を受け取っているからです。
また、転職エージェントであれば、施設へ出向く必要は一切ありません。ネットや電話を通して、全て完結します。
毎日忙しく、小さな子供がいるシングルマザーにとって、施設に出向く必要のない転職エージェントは、とても助かります。対面でないため、他人に言いにくい悩みの相談もしやすいでしょう。
例えば、「水商売で働いていた場合、履歴書にどう書けばいいか」「風俗で働いていた場合、職歴に書くべきか。企業側に伝えるべきか」などの悩みを相談することができます。たしかに、水商売については職歴として「飲食業」と書くこともできます。ただ、企業によって判断が異なるため、転職エージェントに相談できれば安心でしょう。
さらに、転職エージェントのアドバイザーは、各企業の人事担当者と直接話している点で、ハローワークとは大きく異なります。
つまり、転職エージェントのアドバイザーであれば、その企業独自の採用のポイントや難易度を踏まえて最適なアドバイスを受けることができます。履歴書でアピールすべきポイントがわかれば、正社員としての採用の可能性はグッと高まるでしょう。
このように、ハローワークや転職エージェントを利用すれば、履歴書について相談したり、添削を受けたりすることができます。ただ、仕事や家事、育児で忙しいシングルマザーにとっては、ネットや電話で全て完結する転職エージェントの方が利用しやすいでしょう。
なお、履歴書は、企業に提出する前にコピーを取っておくことをおすすめします。面接では、履歴書の内容をもとにした質問を受けることが考えられるからです。面接前に記入内容を確認することができれば、採用担当者からの質問に対してスムーズに答えられるでしょう。
また、履歴書のコピーを保管しておけば、次に履歴書を作成する機会があったとき、参照しながら書くことができます。
まとめ
このページでは、シングルマザーが正社員としての就職・転職を成功させるための履歴書の書き方について、お話ししました。
シングルマザーの場合、独身者と比べて年齢がいっていたり、就労に制限があったり、就職・転職に不利となることが多いです。そのため、シングルマザーが正社員として採用されるには、履歴書で「社会人としてのマナーが身についていること」「入社への意欲・熱意があること」「企業の役に立つ人間であること」の3つをアピールすることが大切です。
履歴書の作成にあたり、ハローワークや転職エージェントなどの就職支援サービスを利用する方法もあります。これらのサービスのうち、仕事や育児、家事に忙しいシングルマザーが利用すべきは、転職エージェントです。
転職エージェントであれば、ネットや電話を通して転職のプロであるアドバイザーに履歴書の相談をしたり、添削を受けたりすることができます。転職エージェントを利用して履歴書を作成すれば、応募先の企業に対して自分をしっかりアピールすることができ、正社員としての採用の可能性をグッと高めることができるでしょう。
したがって、シングルマザーの正社員としての就職・転職を成功させるには、転職エージェントを利用して履歴書を作成することをおすすめします。