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「母子家庭で生きていく」と決めたとき、問題になるのがその後の住まいです。母子家庭になる理由は、離婚や死別、未婚の出産など、人によって様々。はじめは実家で同居していても、うまくいかない場合もあります。
ただ、シングルマザーが自分で部屋を借りて生活するには、家賃が大きな壁となります。例えば、東京都で2DKの部屋を借りる場合、家賃の相場は月額8~20万円前後です。
そこで、目が向くのが「団地」。住まいでいう団地とは、一般的に公営住宅を意味します。公営住宅なら、例えば、家賃1万円台など安く抑えることができます。
このページでは、公営住宅の入居の条件やメリット・デメリットを解説します。ぜひ参考にして下さい。

公営住宅の実際の実施状況は自治体によってさまざまです。公営住宅に住むなら、お住まいの地域の窓口で必ず確認して下さい
目次
団地とは? まずは定義をおさらい
まず、「団地」の定義をおさらいしておきましょう。
団地とは、住居や工場など、複数の建物が立ち並ぶ土地のことです。住まいに限っていえば、団地は一般的に「公営住宅」を意味します。
公営住宅とは、住まいに困っている低所得の人向けの住居。各自治体が運営・管理をしています。管理する自治体によって、都営・市営・県営などの名称に分かれます。
厚生労働省の令和3年度 全国ひとり親世帯等調査の結果によると、実際、公営住宅に住んでいる母子家庭は全体の約1.2割。
公営住宅は、家賃を抑えたいシングルマザーの選択肢のひとつといえます。
公営住宅の家賃の相場をまとめてみた
では、公営住宅の家賃はどれくらいでしょうか。
公営住宅の家賃は、入居する世帯の収入をもとに算出します。
具体的には、入居する世帯全体の収入をもとに決まる家賃算定基礎額に、建物の立地・部屋の大きさ・築年数・利便性を踏まえて設定した数値を掛けた金額となります。
家賃算定基礎額は、次のとおりです。
<家賃算定基礎額>
| 入居世帯の収入(月収) | 家賃算定基礎額 |
|---|---|
| 123,000円以下の場合 | 37,100円 |
| 123,000円を超え153,000円以下の場合 | 45,000円 |
| 153,000円を超え178,000円以下の場合 | 53,300円 |
| 178,000円を超え200,000円以下の場合 | 61,400円 |
| 200,000円を超え238,000円以下の場合 | 70,900円 |
| 238,000円を超え268,000円以下の場合 | 81,400円 |
| 268,000円を超え322,000円以下の場合 | 94,100円 |
| 322,000円を超える場合 | 107,700 円 |
(出典:公営住宅制度の概要について)
表にあるとおり、家賃算定基礎額は37,100円からとなっています。
ただ、駅やスーパーなどから遠かったり、建物が古かったりするなど、建物の立地・部屋の大きさ・築年数・利便性によっては、家賃1万円台で借りられるものもあります。
これなら、家賃の支払いに不安があるシングルマザーでも実家の外に住まいをもつことができそうです。家賃は毎年見直しとなることから、万が一、収入が下がっても安心です。
例えば、練馬区のとある都営住宅に2人で住む場合の家賃は次のとおりです。
<練馬区のとある都営住宅に2人で住む場合の家賃>
| 2DK・昭和44年度建設 | 17,600円~ |
|---|---|
| 3DK・昭和59年度建設 | 30,300円~ |
公営住宅に住めば、民間の賃貸の3~5分の1以下に家賃を抑えられます。
ただ、公営住宅では次の費用も月額でかかります。
家賃のほかに、これらの費用がかかることを頭に留めておいてください。
また、入居にあたり、次のものは自分で用意することになっている場合が多いです。
これらを合わせるとかなりの出費です。
さらに、初期費用として家賃の2~3か月分の敷金と保証人も必要です。保証人がいない場合は、保証会社を利用することになります。
保障会社の利用には、初回の保証料として家賃の50%または2万円のうち金額が高い方、継続の保証料として年間1万円がかかることが多いです。
公営住宅は、月々の家賃は安く抑えられるものの、初期費用にかなりの金額がかかることを覚悟しておいて下さい。

礼金・契約金・契約更新料は不要です
公営住宅の入居の条件と流れ
では、公営住宅の入居の条件と流れをみていきましょう。
公営住宅の入居の条件
公営住宅の入居の条件は、次のとおりです。
公営住宅への入居は、「住まいに困っている」ことが大前提。持ち家がある場合、公営住宅に申し込みことはできません。
このほか、申し込みにあたり、あなたの現住所や勤務地が同じ自治体にあること、住民税を滞納していないことも条件です。
公営住宅への入居は、所得が月額21.4万円以下であることが目安
上述のとおり、公営住宅の入居には、所得が一定の金額以下である必要があります。
公営住宅への入居の条件である所得の基準額は、月額15.8万円以下。世帯の所得金額の合計がこの金額を上回ってはなりません。
高齢者・障害者・子育て世帯では月額21.4万円以下が目安です。高校修了期までの子どもなら、子育て世帯として申し込みできます。

「所得金額」は、源泉徴収票なら「給与所得控除後の金額」、確定申告書なら所得金額の合計欄にある金額で確認できます。それを12で割った金額が月額の所得です
ただ、東京都など、家族の人数に応じた基準額を設定しているところもあります。
例えば、東京の都営・市営住宅の基準額は次のとおりです。
<東京の都営・市営住宅の基準額>
| 家族の人数 | 所得金額 | |
|---|---|---|
| 一般世帯 | ひとり親世帯など | |
| 1人 | 0~1,896,000円 | 0~2,568,000円 |
| 2人 | 0~2,276,000円 | 0~2,948,000円 |
| 3人 | 0~2,656,000円 | 0~3,328,000円 |
(出典:JKK東京)

進学のため県外に住むなどして同居していない子供でも、扶養している限り、家族の人数に含められます
収入の基準も含め、あなたが入居の条件を満たすなら、公営住宅も住まいの候補に考えることができます。
公営住宅への申し込みは、定期・毎月・随時募集の3通り
公営住宅に入居したい場合は、「定期募集」「毎月募集」「随時募集」のいずれかから申し込みを行います。

自治体によっては、3つのうち1~2つの募集のみに絞っているところもあります
それぞれの特徴は次のとおりです。
<公営住宅への申し込み方法と特徴>
| 当選の方法 | 申し込みから入居にかかる期間の目安 | |
|---|---|---|
| 定期募集 | 抽選方式 ポイント方式 | 6~8か月後 8~13か月後 |
| 毎月募集 | 抽選方式 | 8~13か月後 |
| 随時募集 | 随時受付 | 最短で3か月後 |
これらのうち、最も人気が高い住居を含むのは定期募集。
毎月募集は定期募集で人気が比較的低かったもの、随時募集は定期・毎月募集で人気がさらに低かったものを扱います。
定期募集の開催は、5・8・11・2月です。このうち、ポイント方式の募集は8・2月に行われます。
抽選方式は時の運。ポイント方式は、住まいの困り具合によって決まります。
ポイント方式では、ひとり親世帯、高齢者の世帯 、心身障害者の世帯、子だくさん世帯、特に所得の低い一般世帯が住まいに困窮している世帯として審査の対象となります。

公営住宅の申込書には、世帯の人数はもちろん、申し込みの理由を書く欄があります。緊急かつ住居に困っていることをしっかりアピールしよう
なお、公営住宅への入居の確率をいくら高めたくても、複数の申し込みはNG。全ての申し込みが無効となるので注意して下さい。
「これぞ」と思うものに絞って申し込みましょう。

離婚を協議している段階でも、ひとり親世帯として公営住宅に申し込むことはできます。ただ、離婚が成立していない状態での入居はできません
公営住宅のメリット・デメリットをまとめてみた
ここまで公営住宅の入居にかかる費用や家賃、入居の条件、申し込みについて解説してきました。
ここからは、公営住宅のメリット・デメリットをみていきます。
公営住宅のメリットは、家賃の安さ
公営住宅のメリットは、なんといっても家賃の安さ。
公営住宅の場合、家賃の一部を税金で補填しています。民間の賃貸住宅より安く借りられるのが魅力です。
毎年の収入に応じて家賃が決まるから、収入が下がったときでも安心です。
公営住宅は、収入が基準の金額を大幅に超えたり、規則を破ったりしなければ、基本的にはずっと住み続けることができます。

公営住宅の規則とは、例えば、ペットを飼わない、同居の親族以外の人を勝手に住まわせない、などです
公営住宅の5つのデメリット
公営住宅にはデメリットもあります。それは、次の5つです。
それぞれについて解説します。
すぐに入居できない
公営住宅への入居で一番に厄介なのが、すぐに入居できないこと。
公営住宅への入居は、抽選がベースです。いつ当選できるかわからず、当選しても審査や手続きのために最長で1年以上かかります。
確実かつすぐに引っ越したい人には、公営住宅は不向きです。
初期費用の負担と退去の手間がかかる
上述のとおり、公営住宅に住むには初期費用がかかります。全てを自分で買い揃えて設置するなら、安く見積もっても30万円以上はかかるでしょう。
退去のときは、原状回復が基本です。部屋の掃除・修繕はもちろん、入居のときに自分で設置したものは撤去しなければなりません。

小さな子供と住む場合、思いのほか、部屋の壁紙の汚れや破れ、床についた傷など、修繕にお金がかかります
公営住宅は、家賃は安いものの、初期と退去のときの費用・手間の負担が大きいです。公営住宅に長期的に住むなら、家賃の安さのメリットの方が上回るでしょう。
部屋を選べない
公営住宅では、入居を希望する棟は選べても、部屋や階、間取りを指定することはできません。
世帯の人数に応じて、次のような間取りを目安にしてもらえるものの、必ずしもそうなるとは限りません。
<家族構成に対する間取りの目安>
| 世帯構成 | 間取り |
|---|---|
| 単身 | 1DK・2K・1LDK・2DK・3K・2LDK・3DK |
| 2人 | 1LDK・2DK・3K・2LDK・3DK |
| 3人 | 1LDK・2DK・3K・2LDK・3DK・3LDK・4DK・5DK |
| 4人以上 | 2LDK・3DK・3LDK・4DK・5DK |
実際に部屋を見られるのは、当選して契約・敷金の支払いが終わり、鍵を受け取った後。
公営住宅の多くはかなりの築年数の物件が多く、台所・トイレ・浴室、内装が時代遅れの造り・デザインだったり、断熱性が不十分だったりする可能性があります。
エレベーターがない建物も多く、3階以上の部屋の場合、小さな子供を連れての移動や買い物の荷物の運搬を考えると少し厳しいかもしれません。

私が小学生の頃の親友が住んでいた公営住宅の階段は薄暗く、枯れ葉や虫の死骸が落ちていて、怖くて猛ダッシュしていたのを覚えています
公営住宅を住まいに選ぶなら、少なくても棟の外観をネット上で調べたり、実際に見てみたりして、快適に住めそうな物件か調べてみて下さい。

棟を選ぶにあたり、勤務先や子供の保育園・学校へのアクセス、スーパーなど近所の利便性のチェックも重要です
自治会の縛りがある
公営住宅は家賃が安い分、「自治会」への加入が必須です。
自治会の活動は、主にアパート周辺の掃除・整備。民営の賃貸なら管理会社やハウスキーパーが行ってくれるところ、公営住宅では入居者が担うことになっています。
自治会への加入は強制ではないものの、非加入の場合、ゴミ収集所などの共用の設備が使えない、加入者から良く思われないなどの不都合が発生します。
子供と気持ちよく生活するには、自治会への加入は避けにくいでしょう。
ただ、公営住宅も高齢化が進んでいることから、役員が早く回ってきたり、活動に参加できる人に限りがあったり、心身ともにかかる負担は大きいです。
公営住宅に住むなら、自治会への加入は覚悟しておいて下さい。
ネガティブなイメージを持たれやすい
公営住宅は、低収入の人向けの住まい。家賃の一部は公費が負担しています。
そのため、公営住宅に住んでいることに対してネガティブなイメージを持つ人がいることは、心に留めておいて下さい。
実際、公営住宅の入居者は、生活保護を受けている人、60歳以上の高齢者、心身に障害のある人など、さまざまな背景をもつ人たちです。
公営住宅に住んでいることが、ネガティブなイメージや人間関係を呼ぶ可能性は少なからずあります。

入居者の人柄は、ゴミの出し方や車の停め方、建物の清掃の具合、建物から受ける雰囲気にも表れます。申し込みの前に足を運んでチェックしておきましょう
公営住居は、これらのデメリットを踏まえた上で入居を望む人、長期の入居を前提に家賃を安く抑えたい人、入居を急がない人におすすめです。
公営住宅のほかにも選択肢はある
上述のとおり、公営住宅は入居を希望してもすぐに引っ越しができるとは限りません。そのため、家賃を抑えたくても断念せざるを得ない場合もあるでしょう。
シングルマザーが住まいの負担を抑えるなら、公営住宅のほかにも「制度を利用する」「公的賃貸住宅に住む」といった方法があります。
それぞれについて詳しく解説します。
制度を利用する
家賃の負担を抑えるため、シングルマザーが利用できる制度は次の2つです。
ひとり親家庭住宅手当は、児童扶養手当の受給者または同等の所得水準にあるひとり親家庭に対して、家賃を助成する制度。支給の金額は、月額5,000円~15,000円です。
さらに、自治体によっては転宅支援給付金を実施しているところもあります。

例えば、東京都の練馬区では、賃貸契約・引っ越し費用として、上限40万円の補助金を受けられます
家賃や入居の初期費用について、助成を受けられればとても助かます。
ひとり親家庭住宅支援資金貸付では、家賃について、原則として12か月間、7万円を上限に無利子で借りられます。
さらに、1年以内に就職をして1年間働き続けた場合は、返還は不要となります。これは、かなりうれしいですね。
現在、無職かつ住まいに困っているなら、ぜひ利用したい制度です。
制度を利用すれば、地域によっては、民間の賃貸住宅でも公営住宅と同様またはそれ以上に家賃の負担を減らせます。
公的賃貸住宅に住む
実は、公的な機関が提供する住宅は、公営住宅のほか、「母子生活支援施設」「公社賃貸住宅」「UR賃貸住宅」「セーフティネット住宅」などがあります。
それらに入居を申し込むのも方法のひとつです。
それぞれについて詳しくみていきます。
母子生活支援施設
母子生活支援施設(旧母子寮)は、18歳未満の子どもがいる母子家庭の保護と自立支援を目的とする施設。
配偶者からの暴力や経済的に困窮した状態など、離婚の調停中・別居中でも入居することができます。
入居の費用は収入に応じて決まります。生活保護世帯・住民税非課税世帯の場合は、水道・光熱費を除き、無料です。
母子生活支援施設に入居できるのは、原則として子供が18歳未満の間。
母子生活支援施設には、各家庭が入居する個別の部屋のほか、健康や生活、仕事などさまざまなことを相談できるカウンセリング室、保育・学童保育を行う保育室・学童室もあります。
母子家庭となって間もない人、子供が小さい人、相談できる相手がいない人にとって、母子生活支援施設は強い味方です。
母子生活支援施設の利用を考えるなら、お住まいの自治体の窓口に相談に行ってみることをおすすめします。

夫からの暴力など緊急に保護が必要な場合は「シェルター」の利用が適切。できる限りの証拠の品を持って、配偶者暴力相談支援センターまたは警察に駆け込みましょう
公社賃貸住宅
公社賃貸住宅が、自治体が出資する地方住宅供給公社(JKKなど)が建設・管理する賃貸住宅です。
入居の主な条件は、「住宅に困っていること」「家賃の4倍以上の月収があること」。
敷金として家賃の3か月分が必要です。保証人がいない場合は、家賃保証会社を利用することとなります。礼金や更新料はかかりません。
家賃は民間の賃貸より安め。給湯器を除き、エアコン・浴槽・網戸は設置がない場合が多く、自分で用意する必要があります。
公社賃貸住宅への入居は、先着順または抽選で決まります。家賃を抑えたいなら、公社賃貸住宅も選択肢のひとつとして考えてみると良いでしょう。
セーフティネット住宅
セーフティネット住宅は、高齢者・障害者・子育て世帯など住まいに困っている人を対象に、自治体が貸主と借主を仲介して提供する住宅です。
自治体は、貸主には家賃や改修の一部を支給。借主に対しては、公営住宅とほぼ同じ家賃の住まいと生活相談・見守りサポートを提供します。
子育て世帯の場合、セーフティネット住宅への入居は月収21.4万円以下であることが条件です。抽選によって入居の可否が決まります。
セーフティネット住宅への入居を考えるなら、住んでいる自治体の窓口へ相談に行ってみて下さい。
UR賃貸住宅
UR賃貸住宅とは、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)が管理する公的な賃貸住宅です。
UR賃貸住宅を利用できるのは、東京23区、大阪市、名古屋市、札幌市、福岡市といった都市部に限られます。
UR賃貸住宅の場合、浴槽・給湯器は備え付け、エアコンは物件によることが多いです。
入居は、新築など一部を除いて先着順。ただ、UR賃貸住宅は人気が高く、なかなか入居できないのが現状にあります。
UR賃貸住宅への入居は、家賃の4倍以上の月収または貯蓄が必要です。敷金は家賃の3か月分が目安です。礼金・仲介手数料、保証人は必要ありません。
UR賃貸住宅で、母子家庭にとって助かるのが「子育て割」です。子供が18歳未満、世帯の所得が月25.9万円以下の子育て世帯であれば、最長6年間、2.5万円を上限に家賃の20%の割引を受けられる「子育て割」を利用できます。
UR賃貸住宅への入居を考えるなら、UR賃貸住宅Webサイトからお住まいの地域で利用できるかどうか調べてみて下さい。
このように、公営住宅のほかにも、シングルマザーが家賃を抑えるために利用できる制度や公的な住居は複数あります。
ただ、公的な住居はいずれも物件数より入居したい人が上回り、なかなか入れないのが現状です。制度の利用を含め、お住まいの自治体の窓口に相談に行ってみて下さい。
まとめ
このページでは、家賃の負担を抑えるため、シングルマザーに人気の公営住宅を中心に解説してきました。
公営住宅は、住まいに困っている人に対して公的機関が提供する住宅のひとつです。
公営住宅のほか、各制度・その他の公的な住居を利用して家賃の負担を抑える方法もあります。
ただ、公的な住居への入居は希望する人が多く、当選できる確証はありません。
公的な住居は、入居まで時間がかかっても良い人におすすめです。当選を待つ余裕がない人は、制度を利用して家賃の負担を抑えることをおすすめします。